これが陣痛?

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「家に帰る元気はありません。今から泊めて下さい」 「泊めて…入院されますか」 「あ…はい。入院…」 「いいですよ~。ですが、まだ生まれませんからね、言っておきますが」 分かってます 分かってますが もう車は無理ですから 頼むから入院させて下さい ということで入院をさせてもらう 病棟へ移動する最中 思い出してしまったのだ とんでもないことに 《食べたいもの食べなければ》 というのも ピンフロは、体が小さい 小さいと出産には不利とのことで 出産までに6キロしか増やしてはいけない と先生に言われ その結果 ダイエット張りの食生活 アスリート並の運動 をしていたのだ 陣痛が始まったということは 好きなものを食べてよい ということなのだ やっと解放されるこの時 これは何があろうと 買物をしなければ 「どうしても、買いたいものがあるんです。連れて行ってもらえませんか…」 顔を歪ませながら すがるようにお願いする 「な…何がいるの」 「ちょ…まっ……いたた…。………おやつ…」 「おやつぅぅぅ⁉」 「もう体重制限ないんですよね。好きなもの食べていいんですよね。好きなものを食べたら、陣痛にも耐えられる気がするんです。普通の100円のアイスじゃなく、ハーゲンダッツ食べたら、値段に比例して、100円アイスの二倍…三倍の働きはできる気がするんです~。お願い、売店…連れてって」 と訳のわからないお願いをし 車椅子で売店まで運んでもらうこととなったピンフロ 売店では 痛みで 足がプルプル震え 壁に張り付いて歩く 情けないピンフロの姿 が目撃されることになる そんなピンフロの姿を見て 誰しも あいつ大丈夫かよ それでもアイス食べたかったんか… などと思ったとか思わなかったとか その後も しっかり病院の夕飯を平らげる 有線で洋楽を探す ブルーの陣痛服じゃなくて ピンクのがい~ などとわがままを言う 好き勝手していたが 夜8時 動けないほど痛くなり さすがに泣きがはいる ご~め~ん~な~さ~い~ もう二度と赤ちゃんがほしいなんぞ思いません ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい 「もう駄目。生む」 勝手に生もうとするピンフロ
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