腕の傷

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  そしてその時、初めて後ろを向き高山の顔を見た。   その瞬間、涙が溢れた。   「ココじゃ寒いから、おいで。」 そう言って微笑んだ。  ヤバイ… 涙が止まらない…。   しかも… 立ち上がれない…。   力が入らない…。     「はい。掴んで。」 高山はそう言って手を差し延べてきた。   そして俺は素直に手をとった。   そうするしか無かったから…。     そして高山は俺を立ち上がらせてくれた。   一瞬ふらつきはしたが高山が支えてくれた為倒れずに済んだ。   「俺荷物持つから先行ってて……」 高山はそう言って俺の鞄を手に取った。   だが俺は…動きもしなかった。   また誰かに会うのが恐かったから。   「…んじゃあ行こっか」 そう言って俺の手を引っ張った。   俺が一人で行けない事を知っていたかのように…。  
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