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「」こら、三十郎❗いつまで寝てる気だい❗起きろったら、起きろ」
いつもはゴロゴロ、昼寝ばっかりしている五郎兄ちゃんが、ふとんをはぎ取った。
「あっ、こいつ泣いてやんの」
ジロジロと、二郎兄ちゃんがのぞきこむ。
「なんでもないってばぁ、
ぶわぁ…ぶわっくしょい❗寝てりゃあ治るんだからぁ❗
みんな、はやく仕事に行ってきなって❗
ぶわっくしょい、しょい‼」
このつらさは、口で言ってもわかりっこないだろう。
生きるか、死ぬかの問題だもの。
大好きな兄ちゃんたちに、余計な心配はかけたくないって、三十郎は、思っていた。
えっ⁉そいつは、ちょっと大げさじゃないかって⁉
たかが花粉症だろ、だって⁉
おいおい、知りもしないで勝手なことを言うなよな。
大げさなモンか‼
深刻なんだぞ❗
だって、三十郎はミツバチなんだから…。
花粉がぎっしり詰まった花びらの中へ飛び込むなんて、
とても恐ろしくって、できそうになかった。
でも、ミツを集めなければ生きていけない。
ミツバチ失格❗
このまんまじゃ、みんなに迷惑をかけるだけだ。
『うちを出よう。
こんな病気おいらだけでたくさんだ。
兄ちゃんたちにうつしちまったら、おおごとだもんぬぁ…どぅわぁ…ぶわっくしょい❗』
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