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『ぎゅるぎゅるぎゅるうううう…』
とんでもなく恐ろしい音が、腹の底からひびいてきたもんだから、三十郎は目をさました。
いたずらな目をしたお日様が、葉っぱのすきまからのぞいている。
目ヤニをグリグリ、こすげ落として、まわりを見てみる。
気味の悪い音の姿はもうどこにもない。
遠くから聞こえてくる、鳥たちのけたたましい話し声に、三十郎は少しほっとしていた。
『ミツバチの末っ子が迷子だって?ケラケラケラ…』
『迷子じゃないよ。家出だよ。ヒャラヒャラヒャラ…』
なんだ?おいらのうわさ話じゃないか。
『見つけたら、朝メシにしてやるのになぁ。ギャヒギャヒギャヒ…』
おいおい、冗談じゃないぜ。三十郎は羽を小さくふるわせながら、キノコの傘の下にもぐりこんだ。
すると、また、ぎゅるぎゅるぎゅるうぅぅぅ…と、例のとんでもなく恐ろしい音が、腹の底からひびいてくる。
『腹へったなぁ』
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