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「僕の名前は、アレン・ディゴリー。法学専門だ。よろしく。」
男:アレンはそう言って、女の子と握手をしようと手を差し出したが…
女の子は目を丸くし、固まったまま、男を見ている。
「…君?大丈夫か?」
「あっ!は…はい。大丈夫です。私はエ…じゃなかった。ナチ・オオカワです。よろしくお願いします。」
慌てて握手をした。
「じゃあ、急いでるから、また4月に!」
アレンは急いで校舎に戻って行った。
「うそぉ…。」
今の人が?彼がアレン…?こんな所で…こんな場面で会うなんて!!
菜智はアレンの背中を見つめながら、へなへなと、その場に座り込んだ。
ポロポロと涙が溢れてくる。
「元気で暮らしてるんだぁ…。」
握手をした手を、握り締めながら、菜智は泣いた。
「良かったぁ…良かったよぉ…。」
ずっとずっと心配だった。もしかしたら、彼は自分の後を追って死んだのではないかと、何度も思った。
何故か?もし、自分が逆の立場であれば…きっとそうしただろう。
でも、アレンは生きていた。
それが菜智には、とても嬉しかった。あれから、どんな風に生きて来たのか…今は結婚して、幸せな家庭を築いているのか…聞きたい事は山程ある。
「4月になったら、根掘り葉掘り聞いちゃおーっと♪」
菜智は涙を吹き、嬉しそうに呟いた。
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