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夏が終わり秋が過ぎて風がとても冷たくなった。
それでも変わらず俺達はこうして一緒に下校する。
至って普通の何気無い日常が何だか嬉しくて、繋いだ手に精一杯の力を込めてみた。
なのにコイツときたら顔色一つ変えず…ってかむしろ、こっちさえ向かずにおもいっきり握り返してきやがった。
「痛!バカ!!」
あ…横目で見下ろして笑ってやがる。
こういう時に力では到底敵わない事を思い知らされて悔しいんだよな…。
でもそれもまた愛しく感じるんだ。
俺、末期だよな?
末期変態眼鏡病患者…
「相変わらず弱いなぁ、岳人は。まあ、姫さんやからしゃあないけどなぁ」
コイツは決まって俺のコトを「姫」と云う。
…でも侑士は「王子」って柄じゃねぇよな。
どっちかって云うと「王子の座を狙う詐欺師」ってトコか…。
「だいたい何で姫なんだよ?俺男だし…」
「知っとるわ。ちゃんと付いてるん、いつも見さしてもろてるやん。まぁ、見てるだけやないけどなぁ」
「は!!バカ///」
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