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こうも恥ずかしい事を顔色一つ変えずに云ってのけるコイツは理解の仕様がない。
むしろしたくない。
「岳人はか弱くてもええねん。姫にはちゃんとナイトがついてるんやからな」
さも当たり前のように云い放つ。
「俺が…な?」って。
当たり前がいい。
何気無い日常がいい。
今日も当たり前に君を愛し愛される。
そんな日常が大切なんだ。
「なぁ侑士、アイスでも食ってこうぜ?」
「引っ張るなや。そないに急がんでもアイスは逃げへん」
「むぅ…」
「でもアイスて…寒いやんι」
「俺らの愛の前にはアイスの冷たさも関係ねぇもん」
「せやな、熱すぎてアイスも溶けてまうわ」
「…溶かしたらダメじゃんι」
「……そか」
繋いだ手の温もりも、君の笑顔の温もりも、感じられる今を大切にしたい。
「あ、猫!アイツ、靴下履いてるみたい。足先だけ白いぜっ」
「引っ張るなや。そないに急がんでも猫は逃げ…」
「逃げる!」
「……そか」
大切なモノは離さない。
だからこの繋いだ手も……
離さない。
fin...
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