私の彼との思い出

3/8
前へ
/8ページ
次へ
昔はよく言われた。 「ま、いっか」で済ますクセ。 どうやら気に入らない人がいるみたいで、すごく注意された。 しかし、僕からしてみれば「まあいいこと」は「まあいいこと」で、それはそれでいいのだ。 しかし、いつの間にか言わなくなっていた。 だけど、友達と思われていなかったとしても、彼に会いに来た。 それはそれで……。 僕は少しおかしい。 やはりおかしい。 そんな友達と思われていない人に会って一体何がしたいのだろうか。 自己満足と言うのかな。 僕は前の角を曲がりながらそんな事を思っていた。 いや、用事があった。 懐かしくてすっかり忘れていた。 今日僕がここに来たのは、この“ハンカチ”を返すためだった。 ポケットを探っていて気づいた。 昔見た映画にあった、それと同じ様に色褪せない黄色いハンカチ。 しかし、それも彼のものかどうかわからない。 近くに落ちていた、だから彼のだと思っているだけだ。 また理由が揺らぎつつある。 遠い記憶が蜃気楼の様に霞む。 もう、帰るべきなのだろうか。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加