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《電話》
10年以上会ってない友からの電話
懐かしい声
あの頃の記憶…
話は 昔の話題
あの頃の記憶…
特に話しがあったわけでもないらしい
とぎれとぎれの会話
今 どうしてる?
仕事は何してる?
当たり障りの無い会話
なんでもない事で笑えた日々
なんでもない事で傷つけ合った日々
あの頃の記憶…
ふいに彼の様子がおかしくなった
小銭を探してる音
公衆電話なのか?
数年前にメールのやりとりはあったはず
敢えて何も聞かない俺
『何かあったのか?』
「べつに…」
そう言うと思ってた
彼の口癖
二人同時に吹き出した
あの頃の記憶…
互いの時間
変わらぬはずの無い時間
何かが違ってしまった時間
とぎれとぎれの会話…
時折聞こえる子供の声
彼は最後に言った
「またな。あり…」
ふいに切れた電話
何があったか知らないが
誰かの声が聞きたくなって
ふいに誰かを思い出す
(またな。ありがとう。)
あの頃の彼が目の前に見えた気がした
〈なんか良いことあったのか?〉
《べつに》
〈べつに〉
あの頃の笑い声が
いつまでも聞こえるような気がした
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