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私、美佳は親の仕事の都合で転校を繰り返していた。
「今回が最後の転校だから」
そう言われて信用できないもののちょっとうれしかった。
長くいたら私にも親友ができるかな…
美佳は転校を来る返すうちに人付き合いが出来なくなっていた。どうやって友達を作っていいかわからなくなっていた。
「美佳、引っ越しは明日よ?準備は出来てるの?」
「うん」
「今度の所は美佳が幼稚園の時に住んでた所だからお友達もいるかもね」
「うん」
ママは引っ越しの前日ってことで慌ただしく動きながらテレビばかり見ている美佳に同じ事を何度も聞いてくる。
「そういえば、さっきパパから電話あって、携帯買ってくるって言ってたわよぉ。よかったじゃない😃」
引っ越しの前日に必ずなんか買ってくるってパパ。多分、気を使ってだと思うけど。手よりもよく動くママの口に無口な美佳は感心しながらも半分うっとうしくも感じていた。
見ていたテレビも終わり、美佳が自分の部屋へ行こうとしたときママが‘あっ’と急にイチオクターブ高い声を出した。
「忘れるところだったわ。さっき、山本さん家の僚君から電話あったよ。」
「そう」
「電話させるっていったから忘れないうちに電話してよね。」
「忘れたのママじゃん」
そうあんまり関係ないぐらいの言い方しながら自分の部屋に入る。
美佳はドアを閉めた途端ベットにそのまま倒れ込む。僚とは家族ぐるみでってるせいもあってどんなに離れてもいつも連絡をくれて、美佳がひそかに想いを寄せてる人。
ガバッと起き上がると大きく深呼吸をして、子機に手を伸ばした。
いつもより長くなるコール音に切ろうとした瞬間、少し低い声がした。
「えっと…。相田デス……」
美佳は久々に聞いた僚の声に緊張してかすれた声に。
「おぉ。」
柔らかい口調で話す僚に、目の前にいるかのように照れる美佳。
「今、ママから聞いたの。電話きたって。」
「あはは。おばちゃんらしいや。電話したの昨日だし。」
美佳はベットに座り、足をブラブラさせながら顔が緩んでいく。
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