序章

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由紀との思い出は数え切れないぐらいある。 まぁ10年以上過ごしてるから当たり前と言えば当たり前だけど。今じゃ一番の親友だ。 由紀を女として意識したことは一度もなかった。近くにいすぎたから由紀が変わっても気づきはしなかった。 俺は紗織のことが好きだ。紗織は美人なんだけど性格もいいし、うまく言えないけどいい子だから。 『紗織と遊んだりしないの?』 『遊んだりって簡単に言うなよ。まだそんなこと言えないよ。』 『じゃずっとこのままでいいんだ…』 『いや良くないけどさ…なんか…な…』 すると由紀は声のボリュームを上げて 『もう!何いじいじしてんのよ!男でしょ!そんなんじゃいつまでたっても紗織には気づいてももらえないよ!』 『どうしたんだよ!急に?』 『うだうだ言ってないでちゃんと誘いなさいよ!わかった!?』 『わかった…』 なんかまた由紀のペースに乗せられてしまった…。例によって紗織をデート誘わなきゃいけないなんて…考えるだけで緊張してくる。一体なんて言って誘ったらいいのか、いくら考えても答えは出てこない。憂鬱だな~。かと言ってまた由紀に『どうやって誘えばいいかな?』なんて聞いたら殴られかねない…由紀なら考えられる。
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