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「・・・・・」
「―――――」
後に、エスと将が残る。
「――将、か。」
「!!?」
がたん、と将が身をひく。
「下層地域調査隊の一員でかつ機械にも詳しいそしてあらゆる事柄に対処し得る適応力を持つが何らかの恐怖症からかいつも怯えたふうな態度をとる。」
「・・・は、」
「どうだ。当たっているか?将=グレスラント。」
「――!!」
「質問は。」
「ど、どし、て、名、」
「解るから、だ。」
「超、能力――!?」
エスはふわっと立ち上がる。将が後ずさるより先にその頬を両手で掴む。
「今、何が見える。」
「エ、エス、さんの」
「じゃあ、今は。」
「あ・・・あぁ・・!?」
まただ。
網膜にいきなり視界が現れる。
それは地表だった。
美しい自然、整然と並ぶ住宅街、高層ビルの群れ、
亀裂、
「ああああ!!!」
バチッ、と視界が消える。
同時に、エスの視線も逸れる。
「疑問が解けたなら行くといい。ここはもうすぐ闇に包まれる。」
「――簡単に言ってやれ。『火を消すから上か下かへ行け』と。」
上の階段から倉井が現れた。エスは机に座っていつものように頬杖をついた。
「将。お前から計測した数値を聞きたいが、時間は?」
「ああはははいいっ!!」
何が言いたいか分からない返事をしながら、将は階段を駆け上がっていった。
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