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紅い…紅い色が、隙間なくうめつくされたその部屋の真ん中に、ぽつんと小さな女の子が一人、虚空を見て静かに座っていた。
小さな窓から入る冷ややかな月明かりが、紅い色を際立たせていた。
部屋に飛び込んできた男は力なく近くの壁にもたれかかった。
(……間に合わなかった……)
悔しさで男の奥歯が嫌な音で軋む。
部屋は血の匂いで満たされていて、男はひどい吐き気が込み上げくるのを口に手を当てて押し止める。
男がその女の子にゆっくり近付こうとしたとき、こちらの存在にやっと気付いたのか緩慢な動作で振り向いてくる。
女の子の虚ろな目と合った瞬間、男は背筋に冷たいものが一気に駆け上がるのを感じた。
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