序章~紅い色の夢~

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 女の子は感情の消え失せた瞳でこちらをみると、口だけは微笑(わら)ってみせる。 「……みんなね、はじけちゃったの……」  男はそれですべてを悟った。              もとは白いワンピースだったと思う女の子の服は、これ以上に染まりようがないくらい紅かった。  それ以上に女の子の手は紅く…紅く染めあげられていた。  血の気の失せた白すぎる顔を静かにつたう血が、妙に鮮やかな紅色で、まるで泣いてるように見える。 ー逃れようの無い運命を嘆くかのようにー
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