真昼の月

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昔は真逆だった。宿題も見せてあげたり、あたしの方がお姉さんみたいだったと思う。 けど一度だけ、階段から落ちて足をくじいた時だけは頼もしかった。あたしを背負って家まで走ってくれて、病院までも付き添ってくれた。学校と家の往復も何気なくそばにいてくれて心強かったのは今でも覚えている。 「ったく」と深い溜め息と共にリビングから戻ってくる。 「今からでもおいでって?」 「まぁそんなとこ。」 「行ってきなよ、あたし家に帰るから。」 「は?鍵取りに行く気かよ。」 「そうよ。」 起き上がり布団を整える。
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