おぼろ月夜

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学校までは本当に近く、歩いて10分程で着く。 同い年なのに、キャピキャピとはしゃぐ制服姿の高校生が眩しく写る。 あたしはもう、あの世界には戻れない・・・。 前に進む足が止まる。 踵を返し、押し寄せる制服姿の波に逆らって歩いた。 『芽衣、女だからって負けちゃダメよ。強く生きるの、大丈夫!芽衣はお母さんの子なんだから。』 母の口癖がふと耳に蘇る。 嘘つき・・・。 こぶしをギュッと握ると、歩調も自然と速まった。
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