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書類をカウンターに提出したレオは踵を返し、外へと繋がる扉へ向かった。
その途中、見知った顔を見つけた彼は、その前で足を止めた。
レオ「――わりぃ。しばらく抜けることになったわ。」
アルド「…マスターの用事か?」
レオ「まあ…そんなとこ。」
何故か最上級機密ということらしいので、言葉を濁らせ、曖昧に返事をした。
それを察し、アルドは苦笑する。
アルド「…まあ、頑張ってこいや。レオが戻るまでは適当にやっとくわ。」
ケミア「ま~たそんなこと言っちゃって。アルドにはちゃんと稼いでもらいます!」
傍らに居た同じパーティの彼女が横から割り込み、ふぬけた表情のアルドを叱咤した。
アルド「ええ~……だるいわ~……」
ケミア「もう……!このメガネは~……!!」
バシっと背を叩かれるが、アルドは相変わらずふぬけたままだった。
ベレット「…しかし………しっかりな………レオ。」
細い目で傍観していた、体格のいい彼もまた、パーティの一人である。
声が低く、太いのが特徴だ。
レオ「…ああ。お前らも死ぬなよ。」
ベレット「…問題無い……心配するな…」
レオ「そうだったな。……じゃあそろそろ俺は行くぜ。」
レオは今度こそ外へと繋がる扉を開けた。
すると背後から皆の声がし、レオは片手を上げ、応えた。
レオ(……さてと………)
レオはギルドを一瞬振り返り、しばらくの別れを告げた。
レオ(……行くとしますか。)
レオは歩き出した。
この依頼が彼の全てを変えることになるとは、この時の彼が知る筈もなかった。
――歯車は静かに回り出した。
◇―――◇―――◇
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