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王都から遠く離れた、隣の国との国境近く――俗に田舎と呼ばれるその小さな村に、彼ら一家は住んでいた。
そこで薬屋として一家は生計を立てていた。
村人「ヴィンテージさん。いつもの薬を貰えますか?」
ヴィンテージ「あっ、サクヤのお叔母さん。少しお待ちください。」
彼は薬箱を探り、目当ての薬を取り出し、袋に入れた。
ヴィンテージ「はい。どうぞ。いつもありがとうございます。」
村人「いんやいや、私らが健康に過ごせるのも、ヴィンテージさんの薬のお陰ですよ。」
村人はそう言い、たわえない世間話をし出した。
彼もそれに笑顔で応える。
村人「―――そんでトルバの爺さんがね……」
レオ「わあーぃ!!」
突然大きな声がし、村人とレオの父の世間話が中断された。
子供「まてー!!」
ユリア「お兄ちゃん、まってー!!」
それに続き、多数の子供が薬屋の横を駆け抜けた。
村人「……元気ですね、息子さんたちは。」
村人はレオらを穏やかな目で見つめ、呟いた。
ヴィンテージ「…本当に。子供の体力は凄いですよ。」
頷きながら自らの息子を見る。
村人「……息子さんには、薬について教えるのですか?」
ふと村人はそう言い、レオの父の顔を見た。
ヴィンテージ「…教えますよ。一応は。」
まるで決まっていたのか、躊躇なく彼は答えた。
――強要はしない。
しかし、ある程度はやってもらう。
それで駄目だったら、それから辞めさせる。
それがレオの父、アルビフィルド・ニールヴィンテージの考えだった。
今まで数回教えたのだが、さすが俺の息子というか。
――とにかく呑み込みが速い。
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