Page.1 mastery a seal

2/8
394人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
    王都から遠く離れた、隣の国との国境近く――俗に田舎と呼ばれるその小さな村に、彼ら一家は住んでいた。     そこで薬屋として一家は生計を立てていた。       村人「ヴィンテージさん。いつもの薬を貰えますか?」     ヴィンテージ「あっ、サクヤのお叔母さん。少しお待ちください。」     彼は薬箱を探り、目当ての薬を取り出し、袋に入れた。     ヴィンテージ「はい。どうぞ。いつもありがとうございます。」     村人「いんやいや、私らが健康に過ごせるのも、ヴィンテージさんの薬のお陰ですよ。」     村人はそう言い、たわえない世間話をし出した。     彼もそれに笑顔で応える。       村人「―――そんでトルバの爺さんがね……」     レオ「わあーぃ!!」     突然大きな声がし、村人とレオの父の世間話が中断された。       子供「まてー!!」     ユリア「お兄ちゃん、まってー!!」     それに続き、多数の子供が薬屋の横を駆け抜けた。     村人「……元気ですね、息子さんたちは。」     村人はレオらを穏やかな目で見つめ、呟いた。     ヴィンテージ「…本当に。子供の体力は凄いですよ。」     頷きながら自らの息子を見る。     村人「……息子さんには、薬について教えるのですか?」     ふと村人はそう言い、レオの父の顔を見た。     ヴィンテージ「…教えますよ。一応は。」     まるで決まっていたのか、躊躇なく彼は答えた。     ――強要はしない。     しかし、ある程度はやってもらう。     それで駄目だったら、それから辞めさせる。     それがレオの父、アルビフィルド・ニールヴィンテージの考えだった。     今まで数回教えたのだが、さすが俺の息子というか。     ――とにかく呑み込みが速い。    
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!