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ヴィンテージ「……やはり、遠慮しておく…」
彼は苦渋の表情で言った。
その答えにハルクは、やっばりねと苦笑した。
この男はどこまでもそうらしい。
ハルク「…いいけど、どう始末する気だい?」
ヴィンテージは視線をそらしながら、
ヴィンテージ「……それなんだが……魔導封殺をしようかと思う。」
ハルク「魔導封殺?またシビアなことしようとするね。」
ヴィンテージ「確かにそうかもな。」
難しい顔で頷いた。
精霊との接触を断ち、魔法を一切使用出来なくする。
……それが魔導封殺の根本だ。
しかしこれには多大な弱点が存在した。
構成が極めて複雑すぎるため、いかな術者が使用しようとも魔法が不安定なのだ。
被術者が精霊と接触をしようとしたり、誰かが構成に干渉しようとすると、構成が決壊する可能性が非常に高い。
ヴィンテージ「それでも…そうするしか無いだろう?」
ハルク「…まあね。」
ヴィンテージ「ちょうど今お前が居る……手伝ってくれるならなんとか魔導封殺は発動できると思う。」
ハルクはその言い方に首を捻った。
術者なら彼と奥さんで十分な筈だ。
ハルク「……なんで僕なのさ?奥さんと構成を編めばいいじゃないか?」
ヴィンテージ「……いや、そうなんだが…」
ばつが悪そうに頭を掻き、
ヴィンテージ「……ほら、あの事件あっただろ?指輪の。」
ハルク「ああ……あれね。」
ヴィンテージ「実はあの後、妻は魔法が全く使えなくなったんだ。」
ハルク「………え!?」
ハルクは思わず彼を見返した。
ハルク「そんな報告は受けてないけど?」
ヴィンテージ「当然だな。してないから。」
こともなげに言った。
ハルク「え―――っ!しろよ――!被害報告虚偽しちゃったじゃん!」
ヴィンテージ「まあ過ぎたことだし、いいじゃないか。」
ハッハと笑った。
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