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貴方は、言いました。
『僕は、行かなければならない場所がある』
『そこは…。遠い、のですか?』
貴方は、静かに頷きました。
私は、溢れそうな涙をグッと堪えました。
だって、此処で私が泣いてしまえば、貴方はきっと困った顔をするから。
だから、私は涙を堪えました。
『でも…。でも!帰って…、来るのですよ、ね?』
『あぁ、きっと。きっと帰ってくるよ』
貴方は、悲痛に叫ぶ私に優しく微笑みながら言いました。
優しく微笑む貴方を真っ直ぐに見れなくて。
私は俯きました。
何も言えない私に、貴方は頭を撫でながら
『だから、僕の事を待っててくれるかい?』
そう言いました。
私は顔を上げて貴方を見ました。
貴方の微笑みは、私にはまだ少し苦しいけれど。
ちゃんと貴方を見て言いました。
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