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『勿論…!勿論です!何時までも、何時までも待ちます!貴方の…、帰りを』
貴方はより一層、顔を和らげて
ありがとう
と言いました。
私は、堪らなくなって。
貴方に抱きつきました。
貴方は私を受け止めて、優しく頭を撫でてくれました。
大きな手のひら。
暖かな温もり。
心地好い撫でるリズム。
全てが優しくて。
少し。
ほんの少しだけ。
私は泣いてしまいました。
貴方に気付かれないように、一粒だけ。
涙を溢しました。
『気を付けて…。どうか、怪我などせず。病気などならず。…帰ってきて下さいね』
抱きついたまま言う私を、力強く抱き締めて、貴方は『約束する』と言ってくれました。
そっと、肩を掴んで、貴方は私を引き離して。
少し、惜しいな。
そう思う私の目を見ながら、貴方は言いました。
『僕は、きっと帰ってくるよ。…この丘に。君と約束したこの丘に帰ってくるよ。だから、待っててくれるかい?』
『えぇ、えぇ。きっと待っています。ずっと、ずっと待っています』
貴方は、嬉しそうに微笑んで。
『…この丘に咲く花を目印に。僕は帰ってくるよ。この花と君に、誓う』
『分かりました。では、私はこの花を守ります。』
貴方が、帰って来れるように。
そう言った私を貴方はまた抱き締めて。
私の唇に、そっと口付けを落としました。
それは、まるで誓いの時にするようで。
甘くて
暖かくて
また、涙が溢れそうでした。
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