第二章  壬生狼士組

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――――…まさか。 「…あ、の…今、何年ですか…?」 おそるおそる男達に問う。二人は目を見合わせ、原田と呼ばれた男が、 「あぁ?お前ぇ、大丈夫?変なとこでも打ったか?」 と、怪しむように聞いてくる。それには答えず、もう一度同じことをはっきり言った。 「今、何年ですか?」 必死だったのが伝わったのか、原田は戸惑いながらも教えてくれた。 「…今ぁ、文久三年だ。」 頭が真っ白になった。嘘だと思いたい。ここは平成ではない……? では、あの布に書いてあったことは本当のこと。自分は今、過去…江戸時代にいるということなのか… 黙り込んだ狭夜を、訝しげに見ながら原田に男が話し掛ける。 「やはり、この者、怪しい。一度、屯所へ連れていって、詳しく調べたほうが良くないか。」 「そうかぁ?でも、一の勘は当たるしなぁ…。一応、連れていくか」 そう言って、二人は立ち上がり、原田が狭夜の腕を掴んで立たせようとする。 「ほら、とりあえず立とぉや。ここじゃ、落ち着いて話もできねぇし」 立ち上がった狭夜の腕から手を離さず歩き出す。引っ張られることに抵抗する力も沸かずされるがまま、ふらふらと付いていった。 .
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