序章

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部活を終え、制服へと着替えて部室を出ると、空はどんよりと曇り、遠くで雷が聞こえる。 先輩達に「お疲れさまです」と声を掛け、雨が今にも降りそうな中を少し急いで家へと足を向けた。 自宅へ着き、玄関を開けると、声を出すよりも先に奥から「おかえりなさい」と声と共に母が歩いてきた。 「ただいま。お父さんは?」 笑顔で応える。母は穏やかでとても柔らかい雰囲気を持っていて、傍にいると自然と顔が綻ぶ。 「少し前から、準備して待ってるわよ」 母の言葉に返事を返し、自分の部屋へと続く階段を上っていく。部屋に鞄を置き、その場を後にして玄関を出ながら母へと「行ってくる」と声を掛け、家の隣の道場へと足を向けた。
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