嘘つき総隊長

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ドンドン!! ドンドンドン!! 割れんばかりに木の扉が鳴る。 石で出来た一室の。 大きな窓から斜陽が降り注いでいる。 小鳥の囀りも聞こえてきそうな天候。 が、小鳥の囀りも轟音で微塵も感じられない。 そんな中全面石で囲まれている部屋の主人は未だにベットの中で蠢いていた。 窓の近くに設置された木の机と椅子。 灯りを灯すためのランプが机の上に置いてある。 後はこれといって目立った物は部屋に置かれていない。 ただ大きな木が置いてあるだけのようにも見える場所が寝床らしい。 薄い布が二枚。 一枚を敷き、その上に寝転がりもう一枚を乗せる。 薄っぺらく、触り心地も決して善いものではないものだろう。 枕にしている物も何かの穀物の殻を同様の布で包み結んでいるだけの物。 ガサガサと寝返りを打つたびに穀物の殻が頭を刺激する。 それでも男は無防備な姿で鼾をかいている。 ドンドン!! 絶え間なく扉が鳴いている。 「いい加減にしてくださいよー!!」 轟音と共に怒鳴り声も聞こえた。 男は目蓋をゆっくりと開いた。 眩しさで中々開かない。 「眩しっ。」 寝言のようにぼんやりと言葉が出た。 腕を目の上に置き視界を塞いでいる。 「あっ!起きましたか!?」 扉が鳴かなくなった。 男はまだ夢と現実の間だった。 「誰だぁー、ちくしょー。いいか?睡眠ってのは人間には必ず必要なものなんだぞ。それを邪魔するとは、説教してやる!」 「あぁ、始まった。だから起こしたくなかったんですよ!いい加減きっちり目覚めてくださいよ!」 起こしにきた男の話を聞く限り毎回こんな感じらしい。 呆れた声を上げている。 「んんー?」 間延びしきった声が起こしにきた男に聞こえた。 ようやくゆっくりと腕をどかした。 「今度こそきっちり起きました?」 「おう、おはよう。」 陽の光を浴びて出た言葉だった。 「おはようございます。もう大丈夫ですね?」 再度確認する。 「あぁ、悪いな。どうにもガキの頃から朝は弱くてな。」 頭を掻きながら体を起こそうとしている。 「いえいえ。では、私はまた警護に戻ります。失礼します。」 扉から音が遠ざかる。 「引き続き任せた。ご苦労。」 労いの言葉をかけた。 そして、体を起こししばらく斜陽を浴び日光浴を始めていた。
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