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副隊長と名乗った男の名はギルディ。
国の軍隊の副隊長と務めるギルディ。
親しい仲からはギルと呼ばれている。
本人はディぐらい付けてくださいと言っているのだがどうにもめんどくさいらしい。
ギルディは戦士長であるアルフの補佐役という立場を担っている。
それだけでなくこの国と他国との連携、貿易、この国の政治にも携わっている。
さらには時より起こる争いに備え軍隊の動き、各兵の配置を考案する参謀機関の局長でもある。
その他技術力の向上を目指し研究を続ける技術局局長も務めている。
その他学問、観察、等々。
要は頭を使う仕事は大体がギルディが関係している。
かと言ってアルフが何もしていないわけではない。
戦士長としての立場上仕事は山ほどある。
政治の最高決定者は国王だが、戦士長の許可なくては進言することすらない。
参謀機関で出来た策案は戦士長の指示で各兵に伝わる。
戦士長の絶対的な信頼が無くては伝わらない。
アルフの指示は水面の波紋の様に広がる。
技術局を創った創始者は他でもないアルフだ。
技術局での全ての計画はアルフの許可をして初めて始まる。
外交にあたるのも戦士長であるアルフの需要な仕事である。
「ギル。お前だって防具じゃなくてローブ着てんじゃねぇか。」
文句を言われたアルフは子供のようにギルディの服装を見て反論した。
「私もその防具はゴワゴワとして動きづらくて作業が進まないんだからしょうがないじゃないですか。」
ギルディは右の手を口に添えてアルフの後ろの廊下に向かって話しかけている。
「お前も何だかんだで不満があんじゃねぇか。今頃服屋が隊長と副隊長の文句を聞いててんてこ舞いどころか血相かいてんだろ。」
アルフは適当に書物を手に取り題名を確認している。
「何のことでしょう?私は"隊長"に言ったんですよ?」
ギルディは椅子に座りペンを走らせている。
「ハイハイ。で、ギルは今日は訓練を担当してなかっけか?」
「えぇ。今日は仕事が溜まっていたので処理しようと思いまして。先方に失礼かと。」
ギルディは軽快に書類を処理していく。
「そうか。」
残念そうに一つ本を手に取りまた戻す。
「もしかしてこんな時間に起きるということは、抜き打ち訓練視察ですか?」
「まぁな。」
「残念でした。私の担当は今日は城の警護です。他をあたったほうがいいです。」
「そうするわ。じゃあな。」
アルフは腰に手を当て廊下に出ていった。
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