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気持ちのいい一時。
窓から差し込む陽気。
まだ先の窓には鳥達が中を覗いている。
「和、そして麗らかだねぇ。」
石の壁からひんやりと目を優しく覚ましてくれる空気をゆっくり深く吸い込む。
廊下にはアルフの歩く音しかしない。
まっすぐ歩き進めると足音以外に音が聞こえる。
「おぉ、やってるねぇ?ギルが休みってことはあいつの隊以外は訓練だってこったな。あいつは別に心配いらねぇからいいか。」
抜き打ち訓練視察。
ギルディはそう笑っていた。
稀にアルフが行っている行為だ。
この国にはそれぞれ専門の部隊がある。
射撃、剣術、医術、偵察伝令。
各部隊に部隊長が存在する。
その部隊長の元、日々訓練をこなしている。
部隊長の上に立つアルフは想像以上に偉い。
日替わりで城内、城外の街に警備兵として出ている。
抜き打ち訓練視察は日々の鍛練をアルフが覗き見するちょっとした楽しみである。
城の正面には城下街が広がっている。
そこを守るのも兵の仕事である。
隣国からは"無敵大隊"として恐れられている。
その評判を知っている国民は安眠を欠かすことはない。
「あの音は銃兵だな。銃兵ってことは………あいつか。」
アルフの顔が沈む。
「部隊長の一の問題児だからな。気を引き締めていかねぇと。」
と言いつつも楽しそうに歩いていく。
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