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正面の城壁と施設、部屋が入っている城の建物の間は緑の芝が生え揃った庭がある。
廊下から誰でも出入りが出来る。
緑の芝に寝るもよし、会話を楽しむもよし、食事をするもよし。
ちょっとした公園のようになっている。
そこに数十名の鎧をきっちり着こんだ兵士が整列していた。
皆揃って長い銃を抱えている。
銀の鎧は太陽の光を綺麗に反射していない。
使い混まれて光沢をなくしている。
「はぁ~い。じゃ、先頭の列射撃準備。」
号令と共にガチャガチャと鎧が忙しく音を起てる。 立て膝を立て、それぞれの利き腕を引き金に指をかけて目の高さまで持ち上げもう片方で長い銃身の中腹を支えている。
「はぁ~い。的をしっかりと捉えろよぉ。くれぐれも城壁に当てるなよ。俺が責任とかなんとか怒やされるんだから。前のめりになるなよ。」
今度は控えめの金属が擦れる音がする。
注意を受け体制を立て直していた。
先頭四人。
その銃口の先。
人間の上半身を型どった柔らかい木が城壁に立て掛けてある。
既に所々が削られている。
「撃て。」
激しい炸裂音と少量の煙が舞う。
「各自次弾装弾急げ。戸惑うなよ。今までのとは違うからな。」
どうやらいつもとは違う新装備の訓練らしい。
銃を立て銃の背中の真ん中の金属の蓋の様なものをスライドさせ薬莢を弾き出す。
兵士は木箱から先の細い弾を入れ蓋をスライドさせ脇の小さなレバーを引き弾を押し込む。
「おし、いいぞ交代。」
先頭の四人は立ち上がり左右に広がり列の後ろへと下がる。
列が一歩前進し先頭がまた座る。
「兵士達は随分としっかりやってるみたいだな。で、お前は何してんだ?ソーマ部隊長?」
先程から指示を飛ばす主。
物々しい訓練の中木のベンチに横たわり、目に布を当て耳に栓をしている。
腕を立てそれで頭を支えている。
金髪と言うよりも色が薄いというような色をしている。
その背後にアルフが見下ろす形で立っている。
訓練中の兵士達は姿勢を正し胸に右腕を当てアルフに敬意を表している。
「ご苦労。」
兵士達に目を向け右手を斜め下に振り下ろす。
「はぁ~い。的をしっかりと捉えろよぉ。くれぐれも城壁に当てるなよ。俺が責任とかなんとか怒やされるんだから。」
ソーマは先程と同じ言葉を繰り返し呟いている。
「こいつやる気ねぇなぁ。」
ソーマはアルフにまったく気付いていない。
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