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私は日野香穂子。
星奏学院に通う2年生。極々普通の女の子だと自分では思ってる。
今日は2年に上がって初登校。・・・なのに寝坊して、今校門前を入ったとこ。
「・・・ま、間に合ったぁ・・・」
息を切らし、両手を膝に着け、ハァ、ハァと呼吸を整える。
顔を上げた瞬間、何かが見えた。
・・・虫?
その小さな物体はこちらに気付き、
「我輩が見えるのか、お前?!」
驚きと嬉しさの余り、日野の顔面寸前まで近付いてきた。日野は一歩引いてしまった。
他の生徒は見えてないのかと日野は周囲を見渡すが、日野の真ん前にいるモノが皆には見えてない。
「無駄なのだ。我輩は皆には見えないみたいなのだ。やっと、やっと我輩を見える人物と出逢える事が出来たのだ!!我輩、諦めていたから嬉しいのだっ!!(泣)」
今にも泣きそうな表情の妖精。
妖精は左手でグイッと涙を拭き、
「我輩の名前はリリ!お前の名は?教えて欲しいのだ!!」
と明るく振る舞う。
名前も言わず去るのは良心を痛むというのか、さっきの泣き顔もみてしまった為か・・・
「ひ、・・・日野香穂子。」
とリリに向かい、ポツリと名を言ってしまった。
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