第1章

2/2
前へ
/4ページ
次へ
私は日野香穂子。 星奏学院に通う2年生。極々普通の女の子だと自分では思ってる。   今日は2年に上がって初登校。・・・なのに寝坊して、今校門前を入ったとこ。   「・・・ま、間に合ったぁ・・・」   息を切らし、両手を膝に着け、ハァ、ハァと呼吸を整える。   顔を上げた瞬間、何かが見えた。   ・・・虫?     その小さな物体はこちらに気付き、   「我輩が見えるのか、お前?!」 驚きと嬉しさの余り、日野の顔面寸前まで近付いてきた。日野は一歩引いてしまった。   他の生徒は見えてないのかと日野は周囲を見渡すが、日野の真ん前にいるモノが皆には見えてない。     「無駄なのだ。我輩は皆には見えないみたいなのだ。やっと、やっと我輩を見える人物と出逢える事が出来たのだ!!我輩、諦めていたから嬉しいのだっ!!(泣)」   今にも泣きそうな表情の妖精。   妖精は左手でグイッと涙を拭き、 「我輩の名前はリリ!お前の名は?教えて欲しいのだ!!」 と明るく振る舞う。   名前も言わず去るのは良心を痛むというのか、さっきの泣き顔もみてしまった為か・・・ 「ひ、・・・日野香穂子。」    とリリに向かい、ポツリと名を言ってしまった。      
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加