知らない視界

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目が覚めたような感覚。本田は意識を取り戻した。 回りを見渡せば、何もない。あるとすれば白。白い世界。どこまでも続きそうな白の世界。…ここはどこだ?。 寒くも暑くもない。本田は夢を見てる気分だった。   『お目覚めかい、ボウズ』 急に目の前に老人が現れた。黒いコートに身を包み、“いかにも”という老人が被る帽子を頭につけている。   「ジジイ!。誰だてめぇ!?」 本田は当然の疑問をぶつける。 『口を慎め!!。この糞餓鬼が!』 という声が聞こえた。直後、頬を平手打ちされたような感覚が本田にふりかかった。だが目の前のジジイは動いてない…。むしろ、手が届く範囲にいるわけでもなかった。   (…?) 本田には今の現象が理解できなかった。というか現状が理解できてない。   老人は静かに喋りだした。 『ボウズ、お前は死んだ…いや、もう死ぬと言うべきか。』 「はぁ?」   老人は続ける。 『まぁ無理もないだろう。…死を受け入れろ。ただそれだけだ』 このジジイ、ボケてるのだろうか。言っていることが理解できない。   老人は一息ついて、 『その呆けた面ぁ見る限りじゃあ…信じてねぇな』 と面白くない表情をしている。   (呆けてるのは お前だ)。 と言いたかったが、また頬を打たれる感覚が怖くなり、最後まで聞くことにした。…悪いことをして親父に怒られた少年時代を なんとなく本田は思い出していた。   どこまでも続くと思われる、白の世界が割れた。 気が付けば 俺とジジイは浮いていた。夜景が眩しい。俺の町だ。辺りを見回した。でかい国道に赤い光が点滅しているのが遠くに見えた。 『あの救急車にボウズが乗っている。数分後、死ぬ』 「な…、バカなこと言うな!。全部バーチャルなんだろ?。ドッキリだろ!?…おい!」 本田は焦る。 『…。』 「おい!、答えろ!!」 老人は 少しの間黙った。   『3、2、1…はい死亡』 老人は“残念でした~”という感じで本田の人生の終わりを告げた。 「!!!!、ジジイふざんけんな!」 言い終わるかというところで老人に本田は襲いかかった。 …が、しかし再度 頬に平手打ちをされた感覚に陥った。 老人は 静かに言葉を続けた。 『いい加減、受け入れろ。本田秋男、貴様は死んだ。』   本田は、頬に痛みを感じながらも、“死”を受け入れることにした。
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