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入り口を抜けると、受け付けがあった。さすがに超高層ビルだけあり、この受け付け空間は大理石のような素材でできていた。高級感があり、本田にとっては居心地が悪い。
(天界とか言っておきながら、いままで生活してた世界とまるで変わらない。)
そんなことを本田は思っていた。
『──!。夢瑞部長、お疲れさまです』
『うむ』
受付嬢に挨拶された夢瑞は当然のように返した。受付嬢は二人いて、一人は真面目そうな凛とした表情で挨拶をした女性。背丈は低く、夢瑞に頭を下げ、肩まで伸びた綺麗な髪が揺れる。
受け付けカウンターの奥から別の女性が顔を出す。
『あら夢瑞はん♪。お疲れさんどす~』
変な口調な奴が出てきた。こっちはこっちでチャキチャキした明るくて、うるさそうな人だった。背が高く、年齢も本田より上に思えた。
『…。』
夢瑞は 黙った。どうしたのだろう?。
『挨拶をしろ。当然だろ?』
夢瑞は本田を睨んだ。なにを言うかと思えば挨拶?。堅苦しい世界だ。生きてた世界と変わりはしない。なんの魅力の無い“礼儀・人との関わり”。本田は不服だったが、夢瑞のアレが怖かったので従うことにした。
背丈の低い受付嬢に歩みよった。ここはカッコよく決めたい。睨みを効かせつつ…
「本田だ…!。」
『え!?、えーと…。わた 私は、小林裕美です』
顔を真っ赤にして精一杯な応答をされた。
ゴン!
「あでっ!!」
本田は夢瑞に頭を叩かれた。
『そんな挨拶があるか!。馬鹿タレが!!。見ろ小林くんが怯えてるじゃねぇか』
確かに怯えている。
『そんなこと無いれすよ~…』
裕美にはアゴにも力が入ってない様子だった。
『あひゃひゃ…!!。オモロイ人やで~♪。ウチの名前は、伊達芽依やで。よろしゅうな』
「…ああ。」
芽依という女に腹を抱えて笑われる。口調がイライラを誘う。
『挨拶もロクにできねぇんだなぁ~お前ぇは』
と夢瑞に一瞥された。
『さぁ、行くぞ』
受付を通りすぎてまた夢瑞と本田は奥に進んだ。
残された受付嬢はヒソヒソ話を始めた。
『本田はん…どーなるんやろかね?』
『分からないですよ…。でも私、あの人コワイから嫌いです』
『なに可愛い子ぶっとるんや!。裕美!!いいかげんにしーやぁ!』
『ちょっと…!。声がでかいですよ芽依さん~』
後半は ヒソヒソはしてなかった。
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