第三章 来訪

3/5
前へ
/294ページ
次へ
今日も一人残業をこなし、腕時計を力なく覗き込む。日付けが変わろうとしていた。 仕方なしに重い腰を上げて帰る準備をし、駐車場へと急ぐ。外に出ると夜風が容赦なく体にぶつかった。さすがに10月となると夜は寒いものだと今さらながら感じ、体を丸めて車に向かう。 その時人影が進路を邪魔した。面倒くさそうに確認すると奴が目の前にいる。 「お疲れ」と寒さで震えながら男が言うと、俺はさほど驚かずに止めた足を再び動かす。
/294ページ

最初のコメントを投稿しよう!

270人が本棚に入れています
本棚に追加