第一章 再会

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どれくらい経ったのか腕時計を見ると午後10時を過ぎようとしていた。 「ふーっ」と一息ついて椅子にもたれかかり携帯を取り出した。携帯のディスプレイを見ずに慣れた手つきで電話をかける。2、3回コール音が鳴ると甲高い男の声が聞こえてきた。 「はーい、こちらドルフィンで…」 相手が言い終わらないうちに俺がだるそうに 「あー、俺だけど…」と答える。すると相手はすぐに 「あら、唯人(ゆいと)ちゃん。お久しぶり~」 と変わりばえしない会話。「今から向かうから」と告げるとマスターは 「いつもの席取ってあるから、あっそれと今日は若い子もいるわよぉ、」とさらに甲高い声で言い電話を切った。
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