彼は印度へ行く

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人間は二種類に分かれる。 インドに行った事の有る奴と、行ってない奴だ。 …そんな事を三島由紀夫って人が言ったらしい。 俺はてっきり昔のロックンローラーか何かだと思っていたんだけど、文学の人なんだそうだ。 本なんか頭痛くなるから読みたくもないが、割腹自殺でおっ死んだと聞いて…そりゃロックだと感動したもんだ。 俺ん中では    凄い=ロック という公式が有る。 産まれてこの方21年、親父の影響も有ってロックばっかり聞いてきた。 体ん中の血液中には、確実に音符が交じっている。 子供の頃から野球やサッカーで遊ぶよりギターをいじってるのが性に合った。 尊敬するのはビートルズ、信じてる神様はジョージ・ハリスン。 ある日、俺の神様がシタールっていう楽器にハマってたってのを知った。 インドの古い楽器。 インド。 暑くてカレーが美味くて俺の神様も、多くの伝説級ロッカーも愛したという、むちゃくちゃパワフルでエネルギッシュな国。 そうだ!インドに行こう! 唐突に俺は思い立ってしまった。 思うにあれ、多分お告げ。 俺の神様(即ちジョージ)がシタールを極めろって、俺に囁いたんじゃなかろうか? 馬鹿じゃねーの、お前。 周りからはそう言われたけど、俺は全然気にしなかった。 無茶を、馬鹿を真剣にやってのける。 これってロックじゃね?
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