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「じゃ娘の旦那も辞めてもらえるだろうな? 大事な娘を嫁がせたのに、それを放っといて宇宙に行きたいだなんて…おれはそんなヤツを息子だなんて思いたくないからなっ!」
「お父さんっ!!」
ぐっ、と言葉に詰まった義兄を庇うかのように姉が父に向かって怒鳴る。
「それ私たちに別れろって言っているの!?」
「あたりまえだっ! この前だって乗っていた宇宙飛行士が全員死んじまった爆発事故あっただろうがっ。俺はなぁ、自分の娘をこの若さで未亡人にするなって対絶嫌だ。自分の夢とやらを優先して、家庭のことなんざちっとも考えない男はもっと嫌だっ」
「別にお父さんが嫌いでも、私は彼の夢を叶えてあげたいもの、別れる別れないは私たちの問題でお父さんは関係ないじゃないっ!」
「なんだとぉぉ?」
ちゃぶ台を挟んでにらみ合う父と姉。
今にもどちらかが巨人の星の様ににちゃぶ台を引っくり返し、大喧嘩をおっ始めんとしたその時、母がやんわりと割り込んだ。
「まあまぁ、二人ともそんな恐い顔しないの。家族の事をちっとも考えないのはお父さんも一緒よね~? 給料入ると、いつも競馬だ競艇だで使い込んじゃって…私がどれだけ苦労した事か」
「いや、母さん、それは…」
「あら、言い訳するつもり?」
母ににっこりと微笑まれ、口の中で何かごにょごにょ呟いてはいたが、結局言葉か見つからなかったらしく…父は不貞腐れたようにそっぽを向いてしまった。
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