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ベッドに掛かっていたシーツや布団は河島の先走りやその他もろもろのせいで使い物にならなくなっていた。
洗濯するためにそれらを部屋の角に寄せ、ソファ変わりにそこに座るが河島は情事が終わった時のまま唯一無事だった枕に頭を乗せて寝転がっている。
背を向け先程から一言も喋ろうとはしない彼にしびれを切らして声を掛けた。
「ねぇ河島」
「…………」
「まだ怒ってんの?」
眠っているのではないかと思うほど沈黙を守り続ける彼。
しかし眠っているわけではない。十五分程前に目を覚ましたことはわかっていた。
「いつもより感じてたじゃん、気持ち良かったでしょ?」
ぴくりと彼の露出された肩が震える。
河島は負けず嫌いだから、あと一言付け足せば確実に言い返して来るだろう。
「欲しかったんだよね、僕が。あんなに腰振って、ねだってた」
「―――違うっ」
予想通りの反応に笑みが漏れる。
漸く目を合わせる気になったらしいが、睨む、というほうが正しい。
「その目、好きだよ。でも言ったよな、屈服させたくなるって。その強気な目が涙でいっぱいになったところが見てみたい」
「ふざけるな鬼畜野郎」
「ああ違った、見てみたいじゃないよな。いつも見てるから」
聞かぬ振りをしているのか、返事がない。
身を乗り出し河島の顔を覗き込むが腕で払われた。
「いつもどんな顔で僕に抱かれてるか、わかってる?」
「知るかっ」
知りたくもない。きっとそう思っていることだろう。
瞳を潤ませて、肌を紅く染め、普段の彼を見ただけでは想像すら出来ない程淫らな姿で喘ぐ河島を知っているのは自分だけ。
他の誰にも見せたくはない。
「いかせてってねだってたくせに、何を怒ってるんだよ」
「手前はっ、それでいいのか」
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