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我々が生きている時代より、気が遠くなるくらい後…人類が滅亡したとき、この世とあの世を支配する、全宇宙の頂点に君臨する神「天帝」と時間を司る神「世主」の戦いが繰り広げられた。
世主は天帝によって人類が誕生するあたりに生み出された神だが、天帝が知らぬうちに凄まじい力をつけていた。
天帝と死闘を演じた末に、辛うじて天帝を倒し、吸収しようとした。
しかし、宇宙最高神である天帝の持つ力は世主では制御しきれるものではなく、世主は天帝と中和して「世帝」となった。
世帝はこの世もあの世も創り直し、時間を宇宙ができた頃に戻す、「再創造」を行った。
世帝と世主は別人のようで、非情にも、この戦いで世主のために死んだ世主の配下「世主八傑」を地球に封印した。
そこには、世主の残留思念も封印された。
一方、天帝自身が人間の中から選び抜いて、天帝に次ぐ絶大な力を持つ神に昇格させられた者が三人いる。
彼らは「天帝三剣士」というが、天帝と世主との戦いで瀕死になり、世主と天帝の融合の際に巻き添えを食らって取り込まれたが、世帝の「再創造」の直後に全員自力で脱出した。
竜閃(リュウセン)、甄剛(シンゴウ)、謝堅(シャケン)の三人は新世界の人間界に溶け込み、子供をもうけて、子孫に乗り移ることで人間界に隠れていた。
さて、人間の文化がだいぶ発展したあたりの話である。
当時の中国は日本的な名字を名乗る人と中国的な名字を名乗る人が共存していた。
物語は合肥(ガッピ)という都市から始まる。
合肥の郊外を二人の男が歩いていた。
2メートルはある、30代前半に見える大男に、175㎝くらいで20代後半に見える、端正な顔立ちの凛々しい男‐竜真の組み合わせだ。
大男は
「ここらは暖かいなぁ」
と問いかけた。
竜真が返す。
「私たちが住んでる地域よりだいぶ南だからな。
北方の者にとってこの気候は心地よく感じられる」
竜真たちは、今でいう北京付近の出身であり、現在は旅行中のようだ。
竜真は前方から数十人の集団が来ているのに気づいた。
その中で馬に乗っている者は10人程度だ。
彼らは横に広がって移動しているうえ、竜真たちからの距離はそう離れていないので、接触するまでに避けられそうになかった。
よく見れば、彼らは武器を持っている。
「ここらへんの警護兵なんだろうか?」
大男はきいた。
竜真が
「巡回中かな」
と答える前に二人は集団と接触した。
お互いにその場で止まった。
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