竜真‐リュウジン

5/9
前へ
/103ページ
次へ
竜真がなだめた。 「戦意が薄れた奴と戦う必要は無い。 お前が暴れたい気持ちはわかるが、私たちに害を加えない者に手を出してはいけない」 赤龍は落ち着いて 「戦う気がないならさっさと帰りやがれ!」 と叫んだ。 気弱そうな奴が返答に困っていると 「加藤に戦う気はなくても、俺はお前を倒したい気持ちでいっぱいだぜ」 そう声が聞こえた。 赤龍が声のする方を見ると、精悍そうな男が馬から降りている。 「赤龍ってオッサン、この中津の強さを身を持って思い知れ」 中津は鉄棒を構えて走ってきた。 「おぉぉっ」 と叫んで赤龍は地面に長斧を叩きつけた。 赤龍の前方180度に気の壁が発生した。 中津は止まれず、気の壁に突っ込んでしまった。 「くそぅ」 だが中津は直撃したにも関わらず、ひるんだだけだった。 「少しはできるな?」 赤龍は口を歪めると、長斧を振り回した。 中津は鉄棒で受け止める。 長斧は攻撃するときのスキが大きい。 赤龍が長斧を振り下ろそうとしたとき、中津は赤龍の胸を鉄棒で突きまくった。 「ぐがっ…」 赤龍がよろめいたところでさらに鉄棒を横に振って赤龍の首を打った。 さらに飛び上がって、赤龍の頭に鉄棒を振り下ろそうとしたとき、赤龍は長斧を振り上げて中津を迎撃した。 中津の鉄棒と赤龍の長斧がぶつかり合い、凄まじい金属音が響く。 中津は赤龍の力に負けて手がしびれたのか、鉄棒を落とした。 しかし、ひるまずに着地してすぐ、赤龍の腰に抱きついて、引き倒した。 そのまま赤龍の腹に乗り、中津は赤龍の顔に何度も拳を振り下ろす。 「オラァ、どうした!?」 中津は手応えを感じているようだ。 「あぁ、燃えてきたさ」 ハンマーを振り下ろすような中津の連打を受けながら赤龍が言う。 赤龍は中津の脚をつかんだ。 中津は赤龍の首をしめる。 だが、赤龍はそれをものともせずに中津の両脚を持ち上げ、放り投げた。 中津は受け身をとって立ち上がる。 「相手がお前のような盗賊でも、アツい戦いができて嬉しいぞ」 赤龍が言うと 「お前、頭おかしいだろ」 中津はバカにして、ものすごい勢いでタックルしてきた。 赤龍もタックルで返す。 二人がぶつかると中津がよろけた。 赤龍は両手で挟み込むようにして中津の首にチョップをくらわせた。 「がはあぁっ!」 中津はかなり大きなダメージを受けたらしい。 続けて赤龍が中津の胸に裏拳を叩き込むと中津はヒザをついて倒れた。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加