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今まで赤龍が倒した賊将は戦闘不能になっただけで死んではいない。
中津とて意識不明になっているが、致命傷を受けたわけではない。
気弱そうな男‐加藤は中津が倒れたのを見て、あわてて賊兵たちに攻撃命令を出した。
100人近い賊兵が二人を囲む。
「まだ体がなまってるが、こいつらを始末したら丁度いい」
竜真が止める間もなく、赤龍は賊兵の群れに突っ込んだ。
地面に長斧を叩きつけて気の壁を発生させる『戦神壁(センジンヘキ)』や長斧をオレンジ色に光らせて強力なひと振りで攻撃する『烈崩鎚』といった技で賊兵を次々に打ち倒していく。
赤龍が戦い始めたことにより、自分にも賊兵が向かってくるので竜真はやむなく迎撃していた。
スキが無い剣さばきで賊兵を寄せ付けず狙った敵を確実にしとめていく。
加藤はそれを見てただおびえるばかりだった。
賊兵が残り10人ばかりになったとき、土佐が呼んだ元田の援軍が来た。
元田自身はいなく、賊兵の数は20人程度と少ないが、数人の賊将らしき武者は全員、ならず者のようなツラをしている。
赤龍は
「新手が来やがったか!」
と叫んで突っ込んでいった。
二人の賊将が正面と右からかかっていき、加藤も左から刀を振りかざして襲いかかる。
「興奮してきたぜ」
赤龍がつぶやくと、目つきが変わり、体から赤いオーラが出てきた。
三人が近づいてくると、長斧を物凄い勢いで何度も振り回し、最後は長斧を地面に叩きつけて全方囲に気の壁を発生させた。
賊将たちは原型をとどめず、粉々に砕け散った。
「まだ来るか!」
赤龍が一喝すると、賊兵たちはおびえて逃げ去った。
ところが、他の賊将たちは平気そうにしている。
「入江、出撃!うひゃっ」
賊将のひとりがふざけたことを言って、赤龍に向かっていくと
「奴を狩るのはこの松原だ!」
そう叫んで別の賊将が向かっていった。
竜真が周りを見ると、野次馬がたくさんいた。
赤龍は松原に烈崩鎚を食らわせた。
松原は野次馬たちの近くに吹っ飛んだが、すぐに起き上がった。
赤龍は松原のもとへ走っていき、長斧を振り下ろそうとした。
そのとき、入江が野次馬の少年を松原の前に突き飛ばした。
赤龍は意外に正義感がある男なので攻撃を出せず、不安定な姿勢になった。
そのスキをついて松原が槍で赤龍の左脇腹を刺し、続いて入江も剣で赤龍の右脇腹を刺した。
「ごはあぁっ」
悲鳴をあげる赤龍を見た竜真は表情を変えた。
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