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「卑怯な…」
竜真は怒りをあらわにしてささやき、少年を助け出した。
赤龍は両脇腹を刺されてもものともせず烈崩鎚を出した。
松原はそれを防ぎ、入江は避けた。
「遅すぎるぜ?」
入江は嘲笑う。
「ほざいてろ」
赤龍は言い捨て、戦神壁を出す。
二人はまともにくらって吹っ飛んだが受け身を取ってすぐに向かってきた。
再び赤龍の目つきが変わり、体から赤いオーラが出た。
赤龍は物凄い勢いで長斧を何回も振り回した。
走っていたた松原は防げずに何発か食らったが入江はしゃがんで死角である足元を切りつけた。
赤龍はひるんで攻撃を止めてしまった。
松原は体勢を立て直して赤龍の胸を槍で突く。
さらに入江が飛び上がって刀で赤龍の首を切りつけようとしたが、赤龍は手を伸ばして入江の頭をつかみ地面に叩きつけた。
そして、入江の腹を踏みつける。
「ぐぎゃっ」
うめく入江。
「調子に乗ってんじゃねぇ!」
松原は赤龍に飛び付き、左腕を極めて両脚で首をしめた。
入江は起き上がり、切りつけようとしたが、赤龍は技をかけたままの松原を片腕で揺さぶって入江にぶつけた。
二人は倒れる。
「ちっ…こうなったら」
入江は起き上がると同時に赤龍の顔に砂をかけた。
赤龍は思わずひるむ。
そこに、飛び上がった松原が赤龍に目潰しを食らわせた。
赤龍はうなり、目が見えにくい状態でがむしゃらに拳を振り回すが当たるわけがない。
「うひゃっはぁー!」
入江は叫びながら後ろから赤龍を切りつけまくる。
よろめく赤龍に松原が槍で突きを連発する。
動けない赤龍を二人は一方的に攻め続けた。
さすがの赤龍も耐え切れず膝をついた。
それでも二人は攻撃を止めない。
松原は顔面に蹴りを入れ、入江は背中を踏みつけた。
そこに竜真が近づいてきた。
「赤龍、引け」
静かに竜真が言う。
松原が振り向き、入江は舌打ちを連発して竜真を挑発した。
「赤龍はもう戦えない、私が彼に代わって相手になろう」
「正義を気取ってんの?キモいぜ」
入江はあざ笑う。
「やり方だけではなく心も汚いようだな」
「はいはい、アンタの相手はこいつを殺してからね」
松原は赤龍の首に槍を刺そうとした。
竜真は松原を突き飛ばして、威厳に満ちた口調で言う。
「貴様ら、いい加減にしろ!
卑怯な戦い方といい無意味に相手を傷つける残虐な行為といい、許せない奴らだ」
「アァ!?」
入江はにらみつける。
竜真は黙って剣を抜いた。
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