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「氷、お前やってて辛くないか?」
「かなり。……なぜ助けてくれなかったのですか!!」
「お前なぁ……」
黒屡は氷の言葉にあきれた。
とはいっても、心から呆れているわけではない。
彼はまだ、執事見習い。
たとえ弓が使えないアーチャーであっても、
術を使うときにリバウンドしても、
それが彼なのである。
だからこそ、クビにしたりなどしない。
「女に負けるってのはどうよ?」
「すみません……。」
「もう少しちゃんとしたらどうだ?
お前だって、気持ちしだいで強くなれると思うけどな。」
笑いながらお茶を淹れるように指示。
するとすぐにティーカップとポットを持ってきて、
お湯で温め始めた。
ちゃんとした知識があることは証明できる。
外にあまり出られない彼にとって、
唯一の趣味は、読書なのだ。
「茶葉はなににしましょう?」
「ん~、普通のがいい。アップルティーとか。」
「わかりました。
すぐに用意いたしますのでしばらくお待ちください。」
手際よく用意していく氷を見て、
これだけは得意なんだよな……。と少し笑った。
そして、地図を開く。
ペンで印を打ってあるところを、指でなぞってみた。
そこで開催されている大会に参加しようとしているのだ。
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