大嫌いな父との別れ

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もちろん、氷付で。 だいたいの大会はタッグバトルがメイン。 人数あわせと修行をかねているのだ。 「氷、次アルベインで大会だってよ。」 「僕は役に立ちませんってば!!」 「歌歌ってくれるだけでいいんだって! 見てるだけでも修行になるし、 なによりフォニムがなきゃ、 俺たちは術を発動できないんだぞ?」 フォニムというのは、いわばMPやTPのこと。 黒屡と氷はフォニマーだった。 歌を歌ったり聞いたりすることでフォニムをため、 術を発動させる。 そんな術者はあまり知られていないらしく、 二人はとても有名になっていた。 「また主人様に怒られますよ?」 「大丈夫だって。あのくそ親父をたたけるくらい 強くなったら出て行ってやる!!」 燃える黒屡を見て、氷は苦笑した。 昔からの口癖だった。 いつもこうしてこの屋敷から出て行くことを夢見ている。 そんな彼を見て、氷はとても尊敬をしていた。 出ることのできないことをわかっていても、 それに挑もうとする彼の姿勢が、とても美しく、 かっこよかった。 「黒屡さん、僕は……」 「失礼します。」 メイドの一人がやってきたことで、会話はとまった。 どうやら黒屡の父に呼ばれているらしい。
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