0人が本棚に入れています
本棚に追加
氷と黒屡はすぐに移動し始めた。
赤いカーペットの上を歩くと、
近づくにつれ、
黒屡の顔がこわばっていくのを氷は見つめていた。
それほど会いたくないのだ。
中に入ると、
暗い蝋燭で照らされている中に、父はいた。
「呼んだか?親父。」
「もうそろそろ氷に過去を打ち明けようと思ってな。
聞きたくないか?お前の過去を。」
その言葉に二人は驚いた。
だが、黒屡だけは何かあると思い、
表情を変えなかった。
今まで何年もだまされてきた。
もうだまされない。
そう思いながら彼の話を聞くことにした。
「お前の両親は死んだ。
悪魔に襲われたのだ。
赤ん坊だったお前を俺は託され、育てた。
そして今に至る。」
「ちょっと待て親父!!」
「お前は黙っていろ。
お前はいつもどおり、
俺の言うことを聞いていればいいんだ。」
黒屡に、とうとう我慢の限界がきた。
やはり嘘だった。
やはりだますつもりだった。
大切な仲間を、だまそうとしている父に、腹が立った。
「ふざけるな!!」
黒屡から闇の気が放たれる。
それに父は驚いていた。
氷も同時に、驚く。
黒屡はあまり怒りを
面に出そうとはしていなかったのだ。
普段から我慢し、自分を納得させ、
危害を加えようとしない。
最初のコメントを投稿しよう!