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一行はジジの家から出た。
爽やかな秋風がみんなの髪をなびかせる。
あっ、貴斗と雅彦はなびく程髪はない。一番なびいているのは與也。
目にかかる程の髪を巻き上げている。
『前髪切ろうかな……』
ぼそりと呟く與也。
風がおさまると同時に貴斗達は街を出る為、歩いた。
辺りにはたくさんのガルマ達が歩いている。
初めてここに来たときはジロジロと見られているだけだったが、今はちゃんと挨拶もしてくれる。
『いやぁ、いい人達だ!!』
呑気なことを言う鼎寛。まぁ確かに鼎寛の言うことにも一理あるが……。
そう色々と考えながら歩いているといつの間にか街の外に出てしまった。
『さてと……出たのはいいが、これからどうする?』
辺りを見回しながら雅彦が問う。
街を一歩出れば、いつ野生のガルマが襲ってきてもおかしくない。
雅彦は警戒しているのだろう。
『まずはこの街に行ってみようよ』
と、佑はガルマナビの地図画面を開いて指さした。
どうやら今出た街から次の街までは一本道らしい。
『まっ、一本道なら迷うことがないし大丈夫だろ』
貴斗はそう言い残すと先に行ってしまった。
『おい、待てよ!!』
後を追いかける鼎寛。
『ったく、なんでアイツはいつもああなのかねぇ……』
ポリポリと頭を掻きながら困った顔───というより呆れた顔で雅彦は貴斗と鼎寛が歩いて行った道をみつめた。
『貴斗らしいと言うか何と言うか───』
雅彦はやれやれといった顔で行ってしまった。
『俺達も行こう?』
『あぁ、行くぞ。ダーグラ』
『わかった』
その時、茂みでガサッと音がした。
『っ!?』
與也は辺りを見回した。だが何もいない。
『……?どうしたの?』
『ん?いや、何でもない』
気のせいか?
また辺りを見回す。やはり何もいない。
『早く行かないと貴斗達に追いつけないよ?』
『そうだな』
と、急ぎ足で歩いていった。
この時、1匹のガルマが與也達の後をつけているということをまだ誰も知らない。
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