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ドサッ
「ぅッ」
立ち上がろうとして足をひっかけてしまい、その場でこけてしまったのだ。
少女は自分の口の中でする泥の味を感じながら、
「……お母さん」
嗚咽を洩らした。しかし、涙は出なかった。出し方も忘れてしまい、出せばそれだけ水分が減ってしまう。自分にそう言い聞かせてやってきた。
「辛いよ…」
彼女の母親の生まれはこの街より海を越えた、はるか遠くの島国だという。
そこにある国のたくさんある村の一つで生まれ育ったという。
そのまま平穏な日々が続いていれば、母も彼女もこんな目には合わなかった。
そう、彼女の母親は…絶望の中で、少女を産んだ。
ただ皮肉にも、絶望が存在しなければ、少女も存在しなかったのだ。
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