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「戦争、終らないかな」
「どうかね~。結局は御上の決めることだからね。それでも早く終わるのに越した事はないんだけどね!」
豪快に笑いながらも、どこか顔には“疲れ”が見えた。
その顔を思い浮かべながら、彼女は空を仰いだ。
「オバさん……旦那さんが戦争行ってるんだよね」
空の色は平和そのもの。それなのに、大地では今日も血が流れ、屍が山となっている。
「あ! すぐに用事済まさないと」
暗くなりかけた顔を軽く叩き、自分に活をいれる。
「お花、綺麗なのが咲いてるかな」
太陽が最も高くのぼる頃、彼女は村へと帰ってきた。
「いっぱい咲いてたな。これ飾ったら綺麗かな?」
両手には摘んで来た花で溢れていた。
名も無き花……けど、力強く咲き誇る姿は見る者に力を与えてくれる。だから、彼女は花が好きなのだ。
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