644人が本棚に入れています
本棚に追加
いろんな気持ちが交差していた。
悲しい、酷い、ショック、辛い…。
こぉの赤ちゃんは後にも先にもちぃだけが産むんだって、ちぃだけが授かるんだって、今まで何も疑いなくそう信じてたのに…。
お風呂からあがるとこぉがいない。
机に殴り書きの手紙があった。
『ちぃごめん。
ちぃと本気で結婚しようと思ってる。
だからちゃんと言わなきゃと思ってた。
高校の時、彼女を妊娠させた。
付き合って間もなかったけど、最初は働いて結婚しようと思ってた。
でも、彼女は産めないと言った。
それで中絶を選んだ…。
手術が終わって、命を消してしまったのになんで自分は生きてしまってるんだろうって、自分も死んだ方がいいって思った。
でも、その時のバイトの先輩が言った。
お前が死んでも中絶した命は帰ってこない。
命を消した罪は消えない。
お前はずっと忘れないでいろ。
それが唯一できる事だ。
償える方法はわからないけど…死んで逃げるんじゃなくて忘れず生きる事を選んだ。
軽蔑した?
これでちぃが離れてしまっても仕方ない…。
でも、ちぃとずっと一緒にいたいから話した。
…ごめんね。』
トイレから音がする。
近付いてみる。
こぉが泣いてた…。
こぉを抱き締めて言った。
『ちぃがこぉの赤ちゃんを産む。
ちぃだけがこぉの赤ちゃんを産む。
何があっても絶対産んであげるから…。』
そう約束した。
その夜から私たちは子供を作る事にした。
最初のコメントを投稿しよう!