③疑惑

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③疑惑

時が過ぎ、2度目の検診の日がやってきた。 娘を実家の母に預け、1人で病院に向かった。 『1人目の時は2度目で心臓が動いてるの見えたし、今日も見えるかな』と期待していた。 受付を済ませ、診察までの間に前回と同様の事をしようとした。 しかしいつも出る尿が今日に限って出なかった。 『後でいっか』受付の方にその旨を伝え、待合室で待っていた。 名前を呼ばれて診察室へ入った。 前回から何か変わったことはなかったか聞かれ、つわりだけありますと答えて内診台に移動した。 エコーの機械を入れると、またまたカーテン越しにボソボソ話し声。 『カーテン開けて話してよ』と何度も思った。 やっとカーテンを開けると先生はすごく難しい顔をしていた… そして、誰だかわからない違う技師さんみたいな人も加わって、エコーを確認していた。 そして…… 心拍が確認できないという事だった。 診察室に戻ると、自己紹介すらしてくれない人から一方的に話された。 「稽留流産の可能性が高いです。子供の染色体異常だと思います。手術するか自然に流れるのを待つか、考えてといてください。」 頭の中が真っ白になった。 『まさか…まさか…誤診に決まってる。あなた誰?絶対信用しない』そんな思いが頭の中をグルグルしていた。 肝心の先生はと言うと、少し後ろから眺めてるだけだった…。 帰り際、出してない尿検査の事を思い出した。 「尿検査は…」 といいかけたところでまたその人に、 「あー異常ありません」 「えっ?私まだ出してないんですけど?」 「あっ、違う人の結果だったわ。今日はいいです。」 と言われた。 あまりの怠慢な態度に、この病院の信用を全てなくした。
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