思考回路停止

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  静かに揺れるカーテン。   開けっ放しの窓から入って来る冷たい風が頬をゆっくりと撫でる。   授業中なのに、眠い私を起こすにはちょうどいい風。   ぼぅとした頭で外を眺めていると、トントンと肩に触れる何か。   その瞬間、触れられた所からじんわりと熱を帯びる。 心拍数は跳ね上がり、さっきまでの眠さが嘘みたく覚める目。   そっと後ろを振り替えると、いつものムッとした顔のあなた。   声が震えていないか心配になりつつも話かける。   「何?田山君。」   彼は、窓を指差し「さむい」と一言言い放った。   私は、ごめんねと言いながらガラリと窓を閉める。   椅子に座り後ろを向き、も一度謝る事にした。   ・・・あなたと一言でも多く言葉を交わしていたいから。   「ご・・・めんね。私、すごい眠くて。あっ!田山君が眠くなったら言ってね??私、窓開けるから。」   少し声が裏返ってしまった事を気にしつつ、チラリと彼の顔を見る。   すると、声を押し殺して笑っているあなた。   笑っている所なんて一度も見た事ない私。   何が起こったのか状況が理解できずに、じっと彼の顔を見ているだけ。   そんな私に気付いたのか、笑いながらごめんごめん言って来た。   そして、笑いを堪えながら 「窓くらい自分で開けれるよ。そんな必死にならなくてもさっ。」   と言い、またククッと笑った。   私は、顔がカァと熱くなり、そ・そうだよねッと言って前を向いた。   どうにかなってしまう程、熱い身体。   彼の笑顔をぱっと思い出す。   すると、甘い毒が私の身体を少しずつ犯していく。   そんな私に追い討ちをかける一言。   「相田って優しいな。」       私の頭の中でバチンと何かがショートした。   ・・・思考回路停止             ━━もっと甘い言葉を頂戴。   その度、私の頭をショートさせて。   頭がおかしくなるくらい、幸せを感じていたいから━━━       《完》
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