疑惑

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以上、回想終わり。 ・・・・・・・・・・・ 「…離れろや」 俺は、まるで犬か猫の様にしがみつく支倉の首ねっこを掴んで引きはがしにかかる。 「あぁん!つれないねぇ !?」 俺だって『年頃の男子』だ。 同じ年頃の女子にしがみつかれて嬉しくないなんて不健康じゃない。 でも! それでも! こいつ! そう! 『支倉ユイ』 こいつだけは別だ!! だいたいコイツは、、 ツァハァ!? 激痛!!!! 「あぁれぇ?カズマどぉしたのかなぁ?」 無邪気な笑顔で支倉が俺の顔を覗き込む。 「な、、なんでも、、ない、、」 「もしかしてぇ、あたしの事、、とか考えてたりしてぇ」 「!」 やっぱり、、コイツ!? 「支倉ぁ! お前に、、聞きたい事が、、ある」 「おぉ!」 驚く様子が、なんともわざとらしい。 「奇遇だねぇ! 実はぁ、あたしもぉ、カズマに話したい事があったんだぁ」 にこやかな笑顔。 「まぁ、こんな所で立ち話ってのもなんだしぃ、まぁ上がってよ!」 俺は、服のホコリを払いながら立ち上がった。 ・・・・・・・・・・・ コイツの家と言うか、御屋敷はガキの頃から何度も来ている場所だ。 案内無しでも大体の場所には行ける。 ガキの頃は、単純にデカイなぁ。 で済んだが、それなりに世の中の事がわかる様になった今、改めてそのスゴさが判る気がする。 見慣れた装飾が施された分厚い木製のドアを開くと、だだっ広いリビングだ。 中央にいかにも豪華そうなソファーと大理石らしいテーブルのセットは、初めてここに来た時と変わらない風景だ。 ここで、いきなりソファーに座るような無用心な事をしてはいけない。 遠巻きにして、まず周囲を一周。 次に床に伏せて、ソファーとテーブルの下に不審な物がないかチェック! そして、最後は極力刺激を与えないようにクッションを調べる。 「カズマぁ、、何してんの?」 いつの間にかリビングに入ってきた支倉が、冷たい目で俺を見下ろしていた。 「安全確認」 俺の一言を聞くと、支倉は『やれやれ』という感じで首をすくめた。 トレイに乗せて運んで来たペットボトルと氷入りのグラスをテーブルに並べる。 「コーラでいいよね?」 支倉がペットボトルに手をのばす! 「ちょっと待ったぁ!」 寸前で支倉からペットボトルを奪う。 これも『安全確認』が必要だ!
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